メタを取り戻せ

新しい人と交わらない生活を送っていると、自分にこびりついた固定観念が幅をきかせるようになって頭が悪くなる。そのことを最初の内は嘆くものの次第に頭が悪くなっていることにも気づかなくなる。


既に私は深刻な事態に陥ろうとしていた。自身の劣化を焦りはするが、焦りそれ自体がその劣化した脳みその中で起こる事象であり、生み出された焦燥感を受け止めるのも自分の感覚器であった。危機感は鈍麻し、自意識はその場をくるくる回るばかりで、人の言うことに一々感心はするがその背景に思慮が及ぶことはなく、表層をなぞりながら自ら作り出した負のスパイラルを彩るだけであった。


今回、久々に自分の目が覚めたような感覚を覚えたのは全くの偶然である。簡単に例えるなら頭をトニックシャンプーで洗うような清涼感。随分この感覚を忘れていた。


願わくは、このまま昔持っていた視点を取り戻せ。自分の起源を、意味を、秩序を、目標を、認知を認知するということを。


そのきっかけが具体的になんなのかというのはどうでもいいことである。